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2021/05/26

JMMA30周年に向けて課題提起

| by 事務局

JMMA30周年に向けて課題提起


JMMA理事・コミュニケーションマネージメント研究部会長

新 和宏(KAZUHIROShin)千葉市科学館

 

 昨今のコロナ禍に限ることなく、ミュージアムを取り巻く諸状況は多様を極めています。ミュージアムに課せられたミッションが時代とともに変容してくることは当然ですが、その個々の事案や案件に対して、いかにミュージアム側、設置者側が追従し、かつ、タイムリーに対応していくかが求められていると強く感じています。私個人としても、ミュージアムの関係者、教育に携わる一教育者、そして何より研究者の一人として、様々な世情に即した内容で、当学会誌をはじめ、全国科学博物館協議会研究紀要、市販の理工系冊子等に論文を掲載してきました。

そのような中でここ2年ほどのコロナ禍は、従来のミュージアムの在り方(ミュージアム論の領域で)に対して大きな課題提起をしています。

従来、ミュージアムのあり方として、もともとのミュージアム論に加えて、「市民協働」・「憩いの場構築」・「文化や学術の基盤構成」・「共に作る組織体系」等々、いわゆるミュージアムと市民等が共に同じ目的を有し、深い関りや絆を持つことで「知の市場」を構築していくことが期待されてきました。しかし、これらのどのカテゴリーをとっても「一緒に、共に、集う」等の関係性が必然であり、結果、今最も避けなければならない「密」を誘発していくことと連鎖していくことになります。また、ミュージアムの評価指標の一つでもある入場者数増や歳入増自体も、一人でも多くの利用者を確保するという観点からは推奨されてきました(私個人的にはこの考え方には異論がありますが)。そして、私が一番危機意識を有していることは、「換気推奨」による「モノの理想的な永続保存」に与える影響です。

以上のように、コロナ禍は、従来目指していたミュージアム論を根底から見直さざるを得ない状況を投じてきていると言えます。

このような背景の中、当学会においてもそれぞれの時代や社会状況等を鑑みて様々なテーマで学会活動を推進してきました。その個々のテーマをもとに、学会大会の基調講演をはじめ、関連のシンポジウム、会員の研究発表等の場で適時議論を展開してきている実情があります。その中、私自身、かつて20周年記念に際しても、「学会への抱負やこれからの学会の在り方」について寄稿しましたが、現在、ミュージアムの現場においては、いわゆるミュージアム系の学会の在り方と、所属する個々の研究員、学芸員の専門分野の学会の在り方との間に、その位置づけの観点から大きな乖離があるととらえています。

我々は、同学会の理事会や総会において、JMMAの在り方、存在意義等について議論、協議する場面は多々あります。そこで、各会員は自らの館の運営や、関係する社会情勢等の視点で議論していきますが、どうしても「ミュージアム系の学会の視点のみでの見解が中心」となっているように感じます。 

しかし、ミュージアムの現場サイドにおいては、どちらかというと各研究員の専門学会の位置づけの方が強い(優先される)傾向にあります。この傾向は、組織の大きさや組織の有している性格(研究中心、学び中心等)によっても違いはでてくると思いますが、私の古巣である千葉県立中央博物館を例にとっても、中央博自体が「研究重視の性格が強い組織」であるため、どうしてもミュージアム系の学会の立ち位置や、いわゆるミュージアム論(博物館学的な観点)においては意識的な面で希薄であると言えます。

こういった現場サイドの実態が大なり小なりあることを前提とした場合、今後、ミュージアム系の学会の中で、その視点のみで議論していったとしても肝心の現場サイドの意見や見解を反映しているとは思えない状況を生み出すことになるのではないかと考えています。ではどうすれば良いのでしょうか。

当学会の会員であれ、他のミュージアム系学会の会員であれ、個々の学術的専門領域を有しており、学芸員である以前に個々の分野における研究者であることを意識した議論を展開していく事が重要だと考えています。ミュージアムとしての観点では当然のごとく「可」であることが、場合によっては個々の専門領域の観点では「不可」ということもあります。その逆もあります。よって、その一方だけの立ち位置で議論展開していく限り、本質を欠いた空論の展開に過ぎないのではないかとの見方も在りえるでしょう。

既に、その両面からのアプローチを成されている会員も多いとは思いますが、これからの当学会やミュージアム系学会の在り方(存在価値)、立ち位置等を議論する際、多角的かつ多面的な視点で議論していく必要性を感じます。会員の皆さんの多様な視点での侃々諤々が必要な時期にきていると実感しています。



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