リレーコラム5「第21回大会(北海道大会)を振り返って」
2016年8月17日 09時43分 [事務局] 大会を地方都市で開催する事は、主管する支部はもとより、学会にとってもいろいろな期待と不安が錯綜する。ましてや、水嶋新会長の初陣大会となれば、気の入れようも違ってこよう。
東京から遠く?離れた地方都市で活動する地方都市博物館関係者にとって、全国各地から博物館学の研究者が一堂に会する大会の魅力は計り知れないものがある。しかし、学会に出席したいが、開催地が遠いと参加したくても出来ない諸事情も多い。それでも会員は会誌情報しか得られない事に釈然としない気持ちを抱きながら、参加機会を探っている。
地方博物館学芸員等職員の各種学会加入率が低い北海道。その背景の一つが、行政上の身分の違い。多くの学芸員等は専門職員として位置づけられている者であっても、ほとんどは研究職員発令を受けず、一般事務職員発令に留まっている。研究職給与表を持ち、運用している市町村がほとんど無い事が原因で、他方、大学や北海道立クラスの学芸員等博物館職員のほとんどが研究職発令を受けている。
研究職発令を受けていると、学会への出席は、業務、もしくはそれに準じる扱になる事が多いが、一般行政職発令を受けた学芸員等は、行政内部の認知度の低さもあって、参加のそのほとんどが休暇処理、経費も自弁がほとんど。さまざまな業務に追われる日々の中で、学会参加を業務として理解していただくには、まだまだ超えなければならない壁を感じる。
そうした学芸員等が参加しやすい環境作りは、大会や各種研究会でも一層配慮し、努力して欲しいと思う。北海道のみならず、日本の博物館は、地方で努力し活躍している学芸職員等がその底辺を築いていることを忘れてはならない。今回の大会閉会式で、「初めて学会に参加しましたが、本当に勉強になりました」と熱い眼差しで語ってくれた地方博物館学芸員の言葉に、大会の成功を実感した。
JMMA北海道支部長 土屋周三
(2016年8月10日)